エルフとは
Wikipediaよれば以下である。
、ゲルマン神話に起源を持つ、北ヨーロッパの民間伝承に登場する種族である。日本語では妖精あるいは小妖精と訳されることも多い。北欧神話における彼らは本来、自然と豊かさを司る小神族であった。エルフはしばしば、とても美しく若々しい外見を持ち、森や泉、井戸や地下などに住むとされる。また彼らは不死あるいは長命であり、魔法の力を持っている。
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一般的にイメージするのは色白で耳が尖っており、美しい見た目をしている。長寿で若く見えても実際には数百歳であったり、博識というものである。ここで各神話や作品におけるエルフを比較してみたい。
北欧神話のエルフ
エルフの期限であるゲルマン神話はその全容が現在わかっておらず失われた神話となっているため、恐らく近しいであろう、且つ詳細がわかっている北欧神話から見ていきたい。北欧神話はキリスト教化以前にスカンディナヴィア人が有していた土着の宗教・信仰・伝説から成っている。スカンディナヴィアは現在のスウェーデン、デンマーク、ノルウェーの位置するところである。エルフは古代ノルウェー語の「妖精」を意味するアールヴ(alfr)からきていると考えられています。
エルフの存在は自然の精霊や死者の魂に対するアニミズム的な信仰と類似していて、ほとんど全て人間の信仰と通じるものがある。ほぼ間違いなく、ゲルマン民族にとってのエルフとは、ギリシャ・ローマ神話におけるニンフや、スラヴ神話におけるルサールカのような存在であったと思われる。
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Wikipediaに記載あるように、今のイメージよりは妖精に近いものだったと思われる。また北欧神話の中には、「光のエルフ」と「闇のエルフ」が存在する。
「光のエルフ」は「アルフヘイム」とい場所に住み、男と女が存在する。人間と同じような大きさで美しい金髪で空を飛べる。人間を導くような者も居て、その者は神に属する者である。時に人間と結婚して子供(ハーフエルフ)が生まれ、優れた名声ある人間の男は死後「光のエルフ」になるという言い伝えもある。
「闇のエルフ」は醜く性格は邪悪。岩や丘の中に住む小さい生き物。魔力や霊力のある武器を作る鍛治職として優れており、外見は背が低く、手が長いのに対して足が短く、直立すると手が地面につく。人間にいたずらをする機会を伺う邪悪な存在。
現在のイメージするエルフは「光のエルフ」なのであろう。しかし「光のエルフ」も現在イメージするものよりも、もう少し神に近い存在であるように思われる。「闇のエルフ」は鍛冶職というキーワードからこれがドワーフに派生したように思うが、現在のドワーフのイメージよりは悪意がある生き物なのであろう。
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スカンジナビアの民間伝承のエルフ
スカンジナビアの民間伝承は北欧神話とキリスト教神話が混合したものである。ノルウェーのエルフは民間伝承ではフルドフォルク(huldrefolk)やヴェッテル(vetter)とも呼ばれます。ヴェッテルは大地に住む、エルフというよりはドワーフに近い存在である。デンマークとスウェーデンではエルフとヴェッテルは別の存在として登場する。
スウェーデンの民間伝承のエルフは森の中にエルフ王と住む、驚くほど美しい少女である。彼らは長命で、気楽に暮らしていた。このエルフは例によって金髪で白い装いをしているが、スカンジナビアの民間伝承に登場する存在のほとんどがそうであるように、気分を損ねると手に負えなくなる。
霧深い朝か夜の草原で、エルフたちが踊るのを見ることができた。彼らが踊ったあとには円状の何かができ、älvdanser(エルフの踊り)またはälvringar(エルフの輪)という。をエルフリングに入った人間には妖精の姿が見えるようになるといわれています。しかしこの輪の中で小便をすると性病になってしまいます。また、エルフの舞を見た人間は時間を忘れ、ほんの短い間のつもりが、現実で多くの歳月が過ぎて、時間を失ってしまった事に気付くことになる。
デンマークのエルフはパンや小麦粉など人間の食べ物を盗むことがあり、「エレン」「エルレの人々」と呼ばれる。エルフは森に住む妖精でニワトコの木の精である。出会った人間に悪意を向ける。男女とも美しい容姿ですが、背中が木の洞のような空洞になっている。
デンマーク、ノルウェー、スウェーデンを含むスカンジナビア半島のエルフは「隠れた人」とも呼ばれ、人間そっくりの容姿であることが多いです。人間とそっくりな見た目な故、人間かどうかをを見分ける方法については、昔から「エルフは身体のどこかに人間ではない部分を持っている」と伝えられていました。牛の尻尾をもっているというのが、一般的な見分け方だとか。
イギリスのエルフ
人間ほどの大きさであり、超自然的な力を持っていて、男性だけの種族というわけではなく、出会った人間を助けることも傷つけることもできた。
「エルフの一撃」という言葉もあり、これは自身に起きた病気や思わぬケガが、妖精の仕業によって起こったものであるという信仰から。他にも「エルフロック」は髪のもつれ、「エルフの一突き」は突然の麻痺のこと。
近世のイングランドの民話では、エルフは小さく悪戯好きで、見つけにくい存在として描かれている。かれらは邪悪ではないが、人をいらだたせたり、邪魔したりする。透明であるとされることもある。ほぼエルフとフェアリーを同族と捉えており、1884年民俗学者のアンドリュー・ラングが書いた妖精物語『Princess Nobody』では、エルフが赤いストッキングキャップをかぶった小人である一方で、フェアリーは蝶の翅を持った小人として描かれている。
妖精に近いエルフたち
妖精のイメージといえば小さく手のひらに乗るようなサイズで、羽が生えており空を飛ぶ、いたずら好きというものである。そんなイメージに近いエルフをいくつか紹介する。
ドイツのエルフ
ドイツの民間伝承のエルフは人々や家畜を病気にさせたり、悪夢を見せたりするいたずら者。ドイツ語の悪夢(Albtraum)」には「エルフの夢」という意味がありますがこれは「エルフが夢を見ている人の頭の上に座るから」悪夢を見る事になると考えられているため。
シェイクスピアのエルフ
劇作家ウィリアム・シェイクスピア(1564年-1616年)は、エルフとフェアリーを同族として扱っている。『夏の夜の夢』では、エルフたちは昆虫ほどの大きさとされている。
グリム兄弟のエルフ
童話『こびとのくつや』(The Shoemaker & the Elves:靴屋とエルフ)には、靴屋の仕事を手伝う、身長1フィートほどで裸の、Heinzelmännchenと呼ばれる種族が登場する。かれらの仕事に小さな服で報いなければかれらは姿を消し、報いればとても喜ぶ。
アンデルセンのエルフ
デンマークの童話作家アンデルセン(1805年-1875年)の、『バラの花の精』(The Elf of the Rose)に登場するエルフは花の中に住めるほど小さく、“肩から足に届くほどの翼”をもっている。『妖精の丘』(The Elfin Hill)のエルフは丘や岩場に住む美しい女性であり、男たちを死ぬまで躍らせることができる。
エルフも、国々よってさまざまな伝承があり、見た目や性質に差があります。ドワーフとエルフが混同されていたり、妖精とエルフが同じように捉えられていたり。また自分の解釈をのせて作家がエルフを書物に記載したりされています。現在のよくあるエルフのイメージに大きく影響を与えているのはどの作品でしょうか。
指輪物語のエルフ
指輪物語(The Lord of the Rings)は、イギリスのJ・R・R・トールキンによる長編小説。ロードオブザリングは映画でも有名ですね。
病を得ることも老いることもせず、肉体をいちじるしく傷つけられなければ死なない。背は高く、肉体は強靭であり、疲れをしらない。しなやかに歩き、足あとも残さず、音もたてない。感覚は鋭く、遠くを見、多くを聞く。聡明であり、善良である。その外面も美しく、また美しいものを多く見いだし、多く作り出した。
エルフと人間との決定的な差は、その寿命にあらわれる。人間に寿命があるのに対し、エルフには基本的に寿命がない。かれらは成長したのち老いて死ぬことがないのである。かれらはいったん生まれると、世界の終末まで存在しつづける。
Wikipedia
映画ではオーランド・ブルームやケイト・ブランシェットが演じていたあの種族です。自然を愛する種族で神に近いような印象。背が高く、美しく、ヒゲも基本的に生えない、手先も起用でそして尋常でない強い肉体と運動神経を持つ。恐ろしく強いが決して好戦的でなく、慈愛の心が強い。立ち姿もとても威厳があり神秘的で一般的なエルフのイメージを作り上げている作品だと思います。原作内では耳が尖っているという明言は無いようであるが、トールキンの手紙などから判断すると作者自身も尖った耳をイメージしていたようである(但し長い耳ではない)。年齢はオーランドが演じたレゴラスが3000歳ほどらしく、不死なので8000歳を超えるエルフもいる。エルフには「光のエルフ」と「暗闇のエルフ」があり、人間と混血のハーフエルフもいます。北欧神話に影響を受けていると思われます。ただ外見は黒髪や茶髪のエルフや、髪が短かったりするようで、「光のエルフ」では色白と原作では記載がありますが「暗闇のエルフ」については明確な記述はなく、2022年に配信開始されたテレビドラマ『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』では黒人のエルフも登場している。
ハリー・ポッターのエルフ
ハリー・ポッターのエルフとはあまりピンと来ないとは思うが原作にはhouse elfが登場する。日本語訳で屋敷しもべ妖精、つまりトビーである。大きな目に大きな尖った耳、髪は生えておらず甲高いキーキー声で話す。背丈は人間の腰ほどで、ガリガリに痩せて汚れた粗末な服を着ている。これは近世のイングランド民話に出てくるエルフの印象に近いのではないだろうか。
日本のエルフ
数多くのメイド・イン・ジャパン作品でエルフが登場する。全部を紹介することはとても不可能なのでここでは一部を紹介する。ただ多くの作品でのエルフは尖った長い耳を持ち長命で、なにか特別な力を持っている。
ロードス島戦記のエルフ
安田均原案・水野良著による日本のファンタジー小説で「呪われた島」ロードスを舞台に、英雄たちの冒険を描いている。1998年にはテレビアニメ放映もされた。ヒロイン的存在のディードリットが”帰らずの森”出身のハイエルフ。魔法剣士で精霊使いでエルフらしい強さも持っており、不老不死に等しいほど長命である(ヒロインの年齢は160歳ほど)。外見は長い金髪で尖った耳をもつ。指輪物語のエルフと異なるのは、ロードス島戦記のエルフの尖った耳はとても長い。この作品で描かれたエルフ像が後に日本のポップカルチャーの中で良く見られる長く尖った耳のエルフのイメージを確立したに違いない。作品内のエルフは争いを好まぬ温厚な性格の者が大半であり、同時に、自分たちの世界の外に関心を向けない閉鎖的な側面も持ち合わせている。作品内には人間とハーフのハーフエルフ、色白のハイエルフ、褐色の肌をもつダークエルフが登場する。ダークエルフは北欧神話に出てくる「闇のエルフ」と言葉は似ているが、「闇のエルフ」がドワーフに近いようなイメージであったのに対しダークエルフは褐色の肌のエルフである。
エルフを狩るモノたちのエルフの
1994年から発売されたファンタジー漫画。この作品の中のエルフは基本的には長くとがった耳を持ち、人間よりも潜在的に魔力を持つ。人間の約10倍の寿命を持つ者もいれば、混血などで普通の人間と寿命が変わらない者もいる。様々な種類のエルフが登場する。コモンエルフ(普通のエルフ)、ハーフエルフ(人間と混血のエルフ)、ダークエルフ(褐色の肌のエルフ)、人魚エルフ、雪エルフ(雪山の精霊)、マンドラゴラエルフ(頭から花の生えた小人のようなエルフ。)、ハイランドエルフ(エルフの耳が毛で覆われている)
Re:ゼロから始める異世界生活のエルフ
2012年4月より連載が始まったライトノベル。ヒロインが人間とハーフのハーフエルフ。銀色の長い髪に紫紺の瞳を持つ美しい少女。色白で白と紫色の服を着ており、エルフの神秘的な印象と一致します。耳は尖っていますが長くはありません。年齢も約100歳ほど。
葬送のフリーレンのエルフ
2020年より連載をしている漫画。2023年にはアニメ化もされた。主人公のフリーレンがエルフである。長命で主人公も1000歳を超える年齢だが見た目は少女である。銀色の長い髪で、大きく尖った耳を持つ、白い服装をしており魔法使いである。主人公以外にもエルフが登場し、皆大きな尖った耳を持つ。エルフは恋愛感情や生殖本能が欠落しているため、絶滅が近い種族らしい。
まとめ
様々なエルフを紹介したがいかがでしたでしょうか。国によって伝承や民話で伝わるエルフの姿が違うのは面白いですよね。日本のエルフはほぼ北欧神話が源流と思われる「指輪物語」のイメージを受け継いでおり、ハリー・ポッターのトビーのような姿や羽が生えたり小人のような妖精に近いようなエルフのイメージでないことがわかります。